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法律相談Q&A

図面と天井高が異なる場合には,どのような責任を負いますか。

Q 建築した建物の天井高が、設計図書より3cm低いことが判明しました。発注者から天井のやり替えを求められていますが,やり替えを行わなければならないでしょうか。


A 設計図書との差異が、3cmであれば、この点は、契約不適合には該当せず、やり替えが不要である可能性が高いといえます。

 例えば、東京地裁平成20年3月13日判決では、天井高が設計図書と、55㎜~75㎜,12㎜~30㎜異なる事案において、「美観上問題があるとはいえず,上記天井高の誤差は許容範囲内である」として契約不適合に該当しないとの判断をしています。そのため、当該裁判例に従えば、3cm程度の誤差については、契約不適合にはあたらないと判断される可能性が高いと考えられます。

 ただし、発注者が天井高に強い拘りを有しており、天井高が決定されたという経緯がある場合には、3cm程度の誤差であっても、契約不適合と評価される恐れがありますので、注意が必要です。上記の裁判例が、天井高と設計図書との誤差は,契約不適合には該当しないと判断していないのは、「美観上問題ないのであれば、通常、請負契約において、天井高の数センチまで契約内容を構成しない。」という考え方が根拠にあると思われますが、発注者の拘りのもと天井高が決定された場合には、天井高について、数センチの誤差もないある高さで合意がなされたと評価されうるからです。

執筆者 弁護士:谷亮平
弁護士登録後、建築・設計・土木・不動産分野を専門的に取り扱う法律事務所に入所。クライアント企業である鉄道会社、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店、設計事務所からの法律相談、紛争事件を多数手がける。昨今は、企業関連法務、マンション管理、システム開発の分野にも注力している。