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法律相談Q&A

建物の配置のずれがある場合に、どのような責任を負いますか。

Q 当社が建築した建物が配置図とずれてしまいました。どのような責任を負うでしょうか。


A 原則として,契約図面と異なる施工は,契約不適合に該当することになりますが,ずれの程度によっては,「契約不適合」に該当しない可能性があります。また,「契約不適合」にあたる場合でも,建物の配置を変えることまでの補修対応は否定される可能性があります。

例えば、神戸地裁平成15年4月21日判決では,図面よりも北側に7cm,東側に10cmずれて建物が建築された事案について,①ずれが僅かであること,②ずれが生じた理由が,建築主事からの行政指導に基づくものであることという点から,瑕疵(契約不適合)を否定しています。このように,ずれの程度によっては,契約不適合が否定される可能性があります。

また,東京地裁平成25年12月4日判決では,建物のずれが瑕疵(契約不適合)にあたるとしつつ,旧民法634条1項ただし書(瑕疵の修補につき著しく過分の費用を要する場合には,修補請求はできない。)の適用により,発注者による「建物の配置換え」の請求を否定し,無形損害として180万円の請求を肯定しています。

執筆者 弁護士:谷亮平
弁護士登録後、建築・設計・土木・不動産分野を専門的に取り扱う法律事務所に入所。クライアント企業である鉄道会社、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店、設計事務所からの法律相談、紛争事件を多数手がける。昨今は、企業関連法務、マンション管理、システム開発の分野にも注力している。