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法律相談Q&A

どのような場合に目隠しの設置(民法235条1項)が必要になりますか。

Q 民法においては、「境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。」とされていますが(民法235条1項)、どのような場合でも、境界線から1メートル以内に窓を設ける場合には、目隠しが必要になるのですか。


A 「他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側」とは、およそ他人の宅地を見ることができる窓又は縁側のすべてを指すものではありません。一般的には,他人の宅地を観望しようと思えば物理的にいつでも観望できる位置、構造のものをいうものと解釈されています(さいたま地裁平成20年1月30日判決)。

そのため、窓又は縁側の大部分が遮蔽される等により、特に意識して見ようとすれば見えるがそうでない限り他人の宅地を観望しえないような窓は,「他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側」には含まれません(東京地裁昭和61年5月27日判決), 

 また、例えば、窓の下部のみが押し出され、全開することはできない構造の滑り出し窓について、換気の目的のために窓を開けることは考えられるものの、その構造からすると、窓を開けたとしても意識的に窓からのぞきこむ等の行為をしない限り通常の状態では隣地を観望することはできないと推認することができるとして、かかる窓を「他人の宅地を見通すことのできる窓」には該当しないと判断している裁判例もあります(さいたま地裁平成20年1月30日判決)。

 一方で、不透明な網入りすりガラスや曇りガラスであっても、開ければ容易に宅地を見ることができ、日常的に開閉が予定されている場合には、「他人の宅地を見通すことのできる窓」に該当するとしている裁判例もあります(東京地裁平成5年3月5日判決、さいたま地裁平成20年1月30日判決)。

執筆者 弁護士:谷亮平
弁護士登録後、建築・設計・土木・不動産分野を専門的に取り扱う法律事務所に入所。クライアント企業である鉄道会社、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店、設計事務所からの法律相談、紛争事件を多数手がける。昨今は、企業関連法務、マンション管理、システム開発の分野にも注力している。