Q 建築士法上どのような書面を保管しておく必要がありますか。
A 以下のとおりです。
⑴ 「建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け,これを保存しなければならない。」(建築士法24条の4第1項)。そして,上記帳簿に記載すべき事項については,同法施行規則21条1項に詳しく規定がなされています(後記【参考条文】参照)。なお,帳簿の保存期間は,当該帳簿を閉鎖(各事業年度ごとに帳簿を閉鎖する必要がある)した日の翌日から,15年間です(同法施行規則21条3項)。
⑵ 「前項に定めるもののほか,建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。」(同法24条の4第2項)。「その建築士事務所の業務に関する図書」とは,以下の設計図書または工事監理報告書を指します(同法施行規則21条4項)。
① 配置図,各階平面図,2面以上の立面図,2面以上の断面図
② 基礎伏図,各階床伏図,小屋伏図,構造詳細図,構造計算書
なお,②は当該設計が建築基準法第6条第1項2号又は3号に係る場合にのみ保存が必要です(同条4項2号)。 上記①②の設計図書及び工事監理報告書の保存期間は,各図面・書面の作成から15年間です(同条5項)。
◆建築士法
(帳簿の備付け等及び図書の保存)
第二十四条の四 建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け,これを保存しなければならない。
2 前項に定めるもののほか,建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
第四十一条 次の各号のいずれかに該当する者は,三十万円以下の罰金に処する。
十一 第二十四条の四第一項の規定に違反して,帳簿を備え付けず,帳簿に記載せず,若しくは帳簿に虚偽の記載をし,又は帳簿を保存しなかつた者
十二 第二十四条の四第二項の規定に違反して,図書を保存しなかつた者
◆建築士法施行規則
(帳簿の備付け等及び図書の保存)
第二十一条 法第二十四条の四第一項 に規定する国土交通省令で定める事項は,次のとおりとする。
一 契約の年月日
二 契約の相手方の氏名又は名称
三 業務の種類及びその概要
四 業務の終了の年月日
五 報酬の額
六 業務に従事した建築士及び建築設備士の氏名
七 業務の一部を委託した場合にあつては,当該委託に係る業務の概要並びに受託者の氏名又は名称及び住所
八 法第二十四条第四項 の規定により意見が述べられたときは,当該意見の概要
2 前項各号に掲げる事項が,電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され,必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは,当該記録をもつて法第二十四条の四第一項 に規定する帳簿への記載に代えることができる。
3 建築士事務所の開設者は,法第二十四条の四第一項 に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を各事業年度の末日をもつて閉鎖するものとし,当該閉鎖をした日の翌日から起算して十五年間当該帳簿を保存しなければならない。
4 法第二十四条の四第二項 に規定する建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものは,建築士事務所に属する建築士が建築士事務所の業務として作成した設計図書のうち次に掲げるもの又は工事監理報告書で,法第三条 から第三条の三 までの規定により建築士でなければ作成することができないものとする。
一 配置図,各階平面図,二面以上の立面図及び二面以上の断面図
二 当該設計が建築基準法第六条第一項第二号 又は第三号 に係るものであるときは,前号に掲げるもののほか,基礎伏図,各階床伏図,小屋伏図,構造詳細図及び構造計算書
5 建築士事務所の開設者は,法第二十四条の四第二項 に規定する図書を作成した日から起算して十五年間当該図書を保存しなければならない。